「誰一人取り残さない」社会構築に人材育成で貢献する
―俯瞰的視点を養うサステイナビリティ教育の実践―
SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)は,2015年9月の国連総会で,加盟国・地域の全会一致でSDGsが採択された,2030年までに世界が連携して優先的に取組む社会目標です。これは,17のゴール,169のターゲットからなり,非常に広い分野をカバーしています。とくに今日,私たちが直面する環境破壊,貧困,格差,人権侵害,紛争等の解決や,大規模自然災害への対応には,すべての人の意識・行動の変化が求められています。
また,SDGsの大きな意義には,様々な課題を独立のものとして扱わず,諸課題の関連性に着目する考え方もあります。これは,限られた研究領域や狭い空間範囲,短い時間スケールだけにとらわれていては,課題解決がうまく進まない,場合によっては決定的な誤りを生む可能性さえある,ということです。そのため,専門分野だけでなく,隣接する様々な知見・課題を関連づけ,俯瞰的に考える力を涵養するリベラル・アーツ教育の役割が重要になります。【SDGsとは?(外部サイト)】
教養教育高度化機構における本プラットフォームの位置づけ
教養教育高度化機構は,東京大学に入学した全学部1・2年生の教育を担う教養学部において,部会・学科の枠組みを超えて取組むべき教育プログラムを実施するほか,部会・学科単位では実施することが難しい教育プログラムの支援を行う事を目的とし,前身である教養教育開発機構と生命科学構造化センターとの融合により,2010年4月に発足しました。
各部門が有機的に連携し,国際社会を支える人材を育成するために教育開発を組織的に推進し,その成果を全国の大学に向けて発信しています。また,生命科学を先導例として知識の構造化,ICT技術を利用した教育環境の開発,討議力や課題解決力の育成のための教育手法の開発に取り組んでいます(本機構Webサイトより)。
2019年に発足した東京大学EdTech連携研究機構に総合文化研究科・教養学部から参画している教員4名のうち3名が本機構の教員です。教育とテクノロジーを掛け合わせるEdTechは,旧来の「教育」の枠にとらわれない核心的な教育開発を目指しており,本機構の取組みとも大きくかかわっています。
このように,本機構では新たな教育の開発に取組んできました。持続可能な開発/発展の実現に向けても,これまでも複数の部門でSDGsに関する活動を行ってきましたが,2019年からは,それらを統合し,さらに発展させるために「SDGs教育推進プラットフォーム」を立ち上げました(下図)。本プラットフォームでは,上述のようなSDGsの理念を理解し,自ら行動できる社会の"change-maker"を育成するため,様々な取組みを進めています。
SDGs成立の流れとプラットフォームの立ち上げ
(教養教育高度化機構パンフレット 2020-2021より)