地球温暖化の主因と考えられる温室効果ガスの約9割は二酸化炭素が占めており、その排出源の殆どはエネルギー由来である。このため、世界では「カーボンニュートラル=脱炭素社会」の実現に向けて、エネルギー分野において産業革命以来最大ともいえる変革の波が押し寄せている。
わが国でも、2020年10月、菅義偉総理大臣は国会における所信表明演説で、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。」と述べ、続けて「もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションです。」とし、国がカーボンニュートラルに向けた取組みを強力に後押しすることを表明している。その具体策として、2020年12月に経済産業省から、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略が発表されたが、その全てはエネルギー関連技術に基づく産業に関わるものである。
本ゼミナールでは、持続可能な社会の構築に向けて、環境と経済の好循環を実現するための2050年に向けた分野横断的なアプローチを議論する。
■キーワード:地球温暖化、気象災害、エネルギー、カーボンニュートラル、持続可能な社会、環境と経済の好循環
【担当:瀬川(専門:エネルギー科学),松本(エネルギー政策),原(環境地理学),松尾基之(物質循環学,客員教授,前教養教育高度化機構長),江守正多(地球環境科学,客員教授,国立環境研究所 地球システム領域副領域長/IPCC AR5 & AR6 主執筆者),小林光(環境経済学,客員教授,元環境事務次官/先端科学技術研究センター研究顧問),田中良(日本の再生可能エネルギー,客員教授)(環境エネルギー科学特別部門),韓礼元(中国のエネルギー技術開発,特任教授)(同),王海濱(中国のエネルギー政策,特任講師)(同)】